断熱リフォームについて

築30年の木造戸建て(約120㎡)で、家全体の断熱性能を上げて光熱費30%削減を目指す

難易度: ★★★★★ (高い)

断熱リフォームは、建物の構造や目に見えない部分の状態を正確に診断する必要があり、専門的な知識と技術が求められます。複数の部位にまたがるため、リフォームの中では最も難易度が高い部類に入ります。

断熱リフォームプラン

【部位別 断熱リフォームの工法・費用】
断熱部位 工法・内容 費用相場 ポイント・特徴
屋根/天井 天井への吹込み断熱 (セルロースファイバーなど) 40万円~80万円 【夏の暑さ対策に最も効果的】
  • 天井裏に断熱材を隙間なく吹き込むため、高い断熱・気密性を確保できる。
  • 天井裏のスペースがあれば比較的短工期で施工可能。
  • 防音、調湿効果も期待できる。
外壁 外壁のカバー工法+外張り断熱 200万円~350万円 【家全体の性能向上と外観刷新】
  • 既存の外壁の上から断熱材(硬質ウレタンフォームなど)を貼り、新しい外壁材で覆う。
  • 家全体を隙間なく覆うため、断熱効果が非常に高い。
  • 外壁塗装も兼ねることができ、工事中の室内への影響が少ない。
壁内への充填断熱 100万円~200万円
  • 内壁や外壁を剥がし、柱の間に断熱材を充填する。
  • 大がかりなリフォームとなり、コストもかかるため、間取り変更などを伴う大規模改修時に採用されることが多い。
床下への吹付け断熱 (硬質ウレタンフォームなど) 30万円~60万円 【冬の足元の冷えに効果大】
  • 床下から断熱材を直接吹き付けるため、気密性が高く、冷気の侵入をしっかり防ぐ。
  • 床を剥がす必要がなく、住みながらの工事が可能。
内窓の設置 (全居室) 40万円~80万円 【費用対効果が最も高い】
  • 既存の窓の内側にもう一つ窓を設置する工法。
  • 熱の出入りを大幅にカットし、断熱・防音・結露防止に絶大な効果を発揮。
  • 1箇所あたり数時間で工事が完了する。
高断熱サッシへの交換 80万円~150万円
  • 既存の窓を撤去し、アルミ樹脂複合サッシや樹脂サッシ(ペアガラス/トリプルガラス)に交換。
  • 外壁工事と同時に行うと効率的。
合計 【吹込み断熱+外張り断熱+床下吹付け+内窓設置】 約310万円~570万円 ※この組み合わせで、建物の断熱性能は国の基準(ZEHレベルなど)を大幅に上回り、光熱費30%以上の削減が十分に期待できます。

壁の断熱

家の側面全体を覆う、最も重要な断熱箇所です。

【断熱リフォーム工法比較】
工法 主な断熱材 性能評価 費用目安 (120㎡) 生活への影響 補助金活用度 こんな方におすすめ
外張り断熱
(カバー工法)
硬質ウレタンフォーム
または
フェノールフォーム
断熱性: ★★★★★
気密性: ★★★★★
コスト: ★☆☆☆☆
200~350万円
(室内の工事はほぼ無し)
・断熱性能を最高レベルにしたい
・外壁の劣化も同時に解消したい
・工事中も普段通り生活したい
充填断熱
(内壁・外壁を剥がす)
高性能グラスウール
または
セルロースファイバー
断熱性: ★★★★☆
気密性: ★★★☆☆
コスト: ★★★☆☆
100~200万円
(仮住まいが必要な場合も)
・間取り変更など大規模リフォームと同時に行いたい
・外観は変えずに断熱したい

屋根・天井の断熱

夏の強い日差しによる室温上昇を抑えるのに最も効果的です。

【屋根・天井の断熱工法 比較】
工法 主な断熱材 性能評価 費用目安 生活への影響 補助金活用度 こんな方におすすめ
天井裏への吹込み セルロースファイバー
  • 断熱性: ★★★★☆
  • 調湿性: ★★★★★
  • 防音性: ★★★★☆
40~80万円
(主に天井裏での作業)
  • 夏の2階の暑さを特に解消したい
  • 断熱と一緒に防音性も高めたい
  • 短期間で工事を終えたい
屋根への吹付け 硬質ウレタンフォーム
  • 断熱性: ★★★★★
  • 気密性: ★★★★★
  • 調湿性: ★☆☆☆☆
60~100万円
(屋根裏での作業)
  • 屋根裏部屋(小屋裏)も活用したい
  • とにかく高い断熱・気密性能を追求したい

床の断熱

冬の底冷えを防ぎ、足元からくる寒さを解消します。

【床断熱リフォーム工法比較】
工法 主な断熱材 性能評価 費用目安 生活への影響 補助金活用度 こんな方におすすめ
床下への吹付け 硬質ウレタンフォーム 断熱性: ★★★★★
気密性: ★★★★★
コスト: ★★★☆☆
30~60万円
(床下からの作業のみ)
・床を剥がさずに手軽に断熱したい
・冬の足元の冷えを根本から解決したい
床への敷き込み 高性能グラスウール
または
フェノールフォーム
断熱性: ★★★★☆
気密性: ★★★☆☆
コスト: ★★★★☆
20~40万円
(床材の張り替えも必要)
・床の張り替えリフォームと同時に行いたい
・コストを比較的抑えたい

窓の断熱

家の中で最も熱の出入りが激しい場所。断熱リフォームの費用対効果No.1です。

【窓断熱リフォーム工法比較】
工法 性能評価 費用目安 (10箇所) 生活への影響 補助金活用度 こんな方におすすめ
内窓の設置 断熱性: ★★★★☆
防音性: ★★★★★
費用対効果: ★★★★★
40~80万円
(1箇所 約1時間)
・最も手軽に、かつ高い効果を実感したい
・結露や外の騒音にも悩んでいる
サッシごと交換 断熱性: ★★★★★
気密性: ★★★★★
費用対効果: ★★★☆☆
80~150万円
(壁を壊す工事が必要)
・外壁リフォームと同時に行い、断熱性能を完璧にしたい
・窓の開閉がしにくいなど、サッシ自体の劣化も解消したい

光熱費30%削減を実現するモデルプラン(福岡市・築30年戸建て)

上記の比較を元に、「暮らしへの影響は最小限に、補助金を最大限活用し、費用対効果高く目標を達成する」というテーマでプランを組んだ例です。

【断熱リフォーム概算費用シミュレーション】
断熱部位 選択工法 費用目安
外張り断熱(硬質ウレタンフォーム) 約250万円
屋根 天井裏への吹込み(セルロースファイバー) 約50万円
床下への吹付け(硬質ウレタンフォーム) 約40万円
内窓の設置(全居室) 約60万円
合計 約400万円
補助金活用(概算) 子育てエコホーム支援事業など ▲ 約80~120万円
実質負担額(目安) 約280~320万円

このプランにより、ZEH基準を超える高い断熱性能を実現し、年間光熱費30%以上の削減と、一年中快適な室内環境の両立が現実的な目標となります。

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